インド投資・経済

【Nifty50の構成業界と企業まとめ】大注目のインド株の業種と構成銘柄の特徴を解説

Nifty50は、SENSEXと同様にインドを代表する株価指数です。インドの経済成長への期待からNISAでも非常に人気のあるeMAXIS インド株式インデックスや、iFreeNEXT インド株インデックスなどは、Nifty50指数に連動するものとして提供されています。

しかしながら、そのNifty50を構成する業界や構成銘柄についてはあまり知られていないのではないかと思います。

米国株式なら、S&P500やナスダックの構成銘柄であるGoogle、Amazon、Facebook(Meta)、Apple、Microsoftなどそれ以外にも有名企業が多いので、どんな企業が対象になっているのか少なからず知っていると思いますが、インドの株価指数のNifty50の構成銘柄や業種について何社ご存知でしょうか??
新NISAなどでインド株に投資しているけど、その詳細を知らない人がほとんどなのではないかなと思います。

そこで、Nifty50の構成銘柄・業種構成についてまとめてみました。
インドで生活を実際にしていた私個人の視点も含むまとめですので、少々偏見があるかもしれませんがご容赦頂き、Nifty50構成企業とその特徴の理解としてお役に立てれば幸いです!

Nifty50の業種別ウエイト・構成社数

Nifty50指数は、インドの株式市場である国立証券取引所(NSE)に上場している上位50社の株式を基にした株価指数で、NSE Indices Limitedにより提供されています。

NSE Indices Limitedのウェブページで、Nifty50の業種別割合を確認したところ、その割合は、金融業界が一番多く、その次に、IT業界が続きます。

以下の図が業種別の割合です。

Nifty50セクター別
NIfty50業種別割合(NSE Indices Limitedのウェブページより)2024年2月29日時点

また、それぞれの業種ごとの企業数をまとめました。

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NIfty50業種別ウエイト(NSE Indices Limitedのウェブページより)2024年2月29日時点

企業数は、金融サービス(Financial Services)以外にも、IT(Information Technology)、原油・ガス・その他消費燃料(Oil Gas & Consumable Fuels)、日用消費財(Fast Moving Consumer Goods)、自動車・部品(Automobile and Auto Components)、ヘルスケア(Healthcare)などの業界企業も多く含まれていることが分かります。

Nifty50の組み入れ銘柄順位

次に、Nifty50の組み入れ銘柄を上位から確認したいと思います。

NIfty50の組み入れ銘柄順位(NSE Indices Limitedのウェブページより)2024年2月29日時点

上位組み込み10銘柄には、業種別割合で30%以上の金融サービスから大手銀行4社(HDFC, ICICI, AXIS, SBI)が含まれています。
インドは古くから金融サービスが経済の強い基盤となっており、GDPに占める金融サービス業の割合が大きいです。

2位のリライアンスは、インド最大のコングロマリット企業の1社であり、非常に大きなウエイトを占めています。

古くからインド経済を支えてきた金融サービスと、リライアンスやタタなどの大手財閥グループが経済を牽引しているのがインド経済の特徴です。

Nifty50の業種別概要と、その構成銘柄について

ここから、Nifty50の業種別の概要とその構成銘柄について、簡単に紹介したいと思います。

金融サービス

インド経済は過去数十年にわたって著しい成長を遂げており、金融セクターはその中心的な役割を担っています。

経済の成熟度によるものが大きいとは思いますが、日本の大手銀行と対照的に、インドの大手銀行は、デジタル化と技術の革新によって大きく成長をしておりインド経済を引っ張る重要な存在です。特にフィンテックの分野では、モバイルバンキング、デジタル決済、P2P融資などが急速に普及しています。これまでインドの多くの国民は、銀行口座が持てず、金融業界には無縁でしたが、現在ではデジタル決済の普及により、多くの人々が初めて金融システムにアクセスできるようになっています。

特にその中でもウエイトの大きいHDFC銀行は、2023年8月時点で時価総額では世界6位の銀行となっており、インドのGDPに大きく貢献しています。HDFC銀行以外も、ICICI銀行や、AXIS銀行、SBI(State Bank of India)銀行などの大手銀行は、”Too big to fail”略してTBTFと呼ばれ、大きすぎて潰せない企業として、仮に破綻するような事態になってしまうと経済への影響が大きく政府の支援が必要になってしまうと言われているほど、インド経済にとって非常に重要な企業です。

IT(Information Technology)

ソフトウェア開発、ウェブ開発、システムインテグレーション、アプリケーション管理、バックオフィス操作など、
幅広いITサービスとビジネスプロセスアウトソーシング(BPO)サービス拠点がインドにはあります。

インドのIT産業は、アメリカやヨーロッパなどのアウトソーシングの拠点として古くから発達しています。アメリカとインドは12時間程の時差があるため、アメリカの夜中にソフトウェアの開発をするためにインドは古くから絶好のパートナーでした。また、英語が広く使われているため言語的な障壁もないこともIT産業が栄えた理由の一つです。

Nifty50に含まれる多くのIT企業は日本にも拠点があり、日本での事業規模も非常に大きいです。近年、DX化を計画する企業が多い中、日本はサービスがガラパゴス化していることもあり、欧米の技術サービスの提供が可能なインドITコンサル企業の活躍の場は、日本にも多くあります。

インド最大手のタタ・コンサルタンシーは、日本で三菱商事との事業連携があり、自動車産業をはじめとする様々な業界へITサービスの提供をしています。グローバルコンサルティングファームとしては、アクセンチュアに次ぐ従業員数で世界に59万人(2022年時点)の社員が在籍しています。

テックマヒンドラは、通信事業に強みがあり、楽天モバイルと技術提携をしています。また、現在は住友商事と通信やIT技術の知見を活かし、自動車関連事業を中心としたエンジニアリングの合弁会社を日本で設立しています。

原油・ガス・その他消費燃料(Oil Gas & Consumable Fuels)

リライアンス・インダストリーは、インドの原油、ガス、その他消費燃料セクターにおいて非常に大きな影響力を持つ企業です。インド最大の民間セクター企業であり、その事業範囲、イノベーションへの取り組み、市場での影響力において、顕著な存在です。
石油化学、石油精製、石油と天然ガスの探査・生産、リテール、電気通信、デジタルサービスなど、多岐にわたるセクターで事業を展開している、インドで最も影響力のある企業です。

世界の主要な石油化学製品製造業者の一つであり、インド最大の精製能力を有しています。インド西部のグジャラート州にある同社のジャムナガル精製所は、単一の拠点での精製能力としては世界最大級です。

また、近年ではデジタルにも力を入れています。例えば、子会社であるReliance Jio Infocomm Limited(ジオ)は、非常に安価なデータプランと広範な4Gネットワークの提供により、短期間でインド通信市場のリーダーになりました。
ジオは、インドのデジタル化を加速し、数億人のインド人にインターネット接続を提供しています。Jioは後発でありながら短期間でシェアを獲得したことから、日本では楽天がこのジオをロールモデルとしたと言われています。ちなみに、2023年に退任してしまいましたが、ジオからタレック・アミン氏が楽天モバイルの共同最高経営責任者(CEO)として在籍していました。

日用消費財(FMCG : Fast Moving Consumer Goods)

このセクターに含まれる企業はどこもインドで生活していると馴染みのある企業ばかりです。

ITCはたばこメーカーで、インドの80%程のタバコシェアを占めています。元々は、たばこ製造だけでしたが、現在は、ホテル、製紙、農産物事業、食品・菓子類、アパレルなど幅広い事業を展開しています。

Hindustan UnileverとNestle Indiaは、皆様ご存知の通り、世界でも非常に有名な企業です。Unileverは、インドの日用品の石鹸、洗剤、食品などの商品を扱っており、Nestleは、コーヒーだけでなく、インドの国民食であるカレー味のインスタントラーメン「Maggie」ヌードルで有名です。

Tata Consumerは、大手財閥タタ・グループの食品メーカーであり”TATA”という大きなロゴが入った紅茶をインドのスーパーでよく見かけます。

Britannia Industriesは、クッキーなどのお菓子の製造メーカーとして非常に有名で、インドのスーパーにはたくさんの種類のお菓子が並んでいます。

インドは人口規模から内需により個人消費は順調に拡大するとみられているため、今後も成長が期待されている業界です。

自動車・部品(Automobile and Auto Components)

インドの自動車業界は、急速な経済成長、中間層の拡大、そして都市化の進展に伴い、近年非常に高い成長を遂げています。四輪自動車の販売台数は、日本を超えて現在、中国、アメリカに次いで世界3位となっています。2023年に人口が中国を抜き世界一になっており、今後もますます成長が期待されています。

そんなインドの4輪車市場では、日本のスズキ自動車と子会社であるマルチ・スズキが、インドのシェアの約40%を占めています。インドでは1981年にマルチスズキはインドで設立され、それ以降、低価格な小型車&日本の品質を売りインドで普及しました。
アルト、スイフト、バレーノが人気で、インドではどこでもこのマルチスズキの車が走っています

インドの国産自動車メーカーとしては、マヒンドラ&マヒンドラやタタ・モーターズが非常に有名です。マヒンドラは、世界最大のトラクターメーカーの一つとして、農業機械でも高い評価を受けています。タタ・モーターは、子会社として、高級自動車メーカーのジャガーとランドローバーを傘下としています。マヒンドラもタタも大手財閥で自動車以外にも様々な業界で活躍しています。

ヒーローは、インドの二輪でシェア1位の企業です。ヒーローはかつては日本のホンダと合弁企業でしたが現在は解消しています。
人口が多いインドでは、二輪は日常生活の足であり、販売台数では現在世界一の国です。

バジャジは三輪(オートリキシャ)としては世界最大のメーカーです。近隣諸国への輸出以外にもアフリカや南米へ輸出しています。
インドではタクシーとして利用されていて、近年ではEV化が進み、街中で多くのEVオートリキシャを見かけます。(EVオートリキシャは、CNG車の特徴的な黄色と緑ではなく、パステルブルーになったようです)

ヘルスケア(Healthcare)

インドは古くから、アーユルヴェーダ(インド伝統医学)が発達していることによりヘルスケアへの関心が高い国です。

そんなインドは、ジェネリック医薬品大国と言われていて、世界の約20%のシェアを持っています。日本へも進出しているサンファーマは、ジェネリック医薬品では世界で5位のシェアとなっています。

またジェネリック以外にも、ワクチンに関しては、世界の生産量の半分はインドと言われていて、数々のインド企業が開発に力を入れています。
価格競争力が高いのが特徴で、アフリカなどの途上国で高いニーズがあり、国境なき医師団が使用するHIV治療薬のほとんどがインド製と言われています。

またインドの製薬大手は、バイオ医薬品への開発にも力を入れていて、インドの製薬業界は今後ますます成長するセクターであると期待されています

余談ですが、日本ではミノキシジルやフィナステリドなどAGA治療薬でインド製のものが有名です。

その他(建築、鉄鋼、電力、通信など)

Nifty50に含まれる上記以外の業界と企業も確認したいと思います。

建設業界のLarsen & Toubroは、建設業、電力、軍事産業などに強い大手財閥です。インドは中国やパキスタンと国境問題を抱えていることから、実は世界で第4位の軍事力を有する国です。

鉄鋼業界では、自動車で有名なタタグループのTata Steelが最大手です。JSW Steelは日本のJFEスチールと業務提携をしている企業です。

Bharti Airtelは、インドを代表する通信事業会社であり、日本でいうNTTのような存在です。インドだけでなくアフリカでもこのAirtel社のロゴを町でよく見かけるほど大きな企業です。私もインドで生活していた時にはAirtelのPrepaid SIMを利用していました。

まとめ

今回の記事は、Nifty50に含まれる企業・業界について、簡単にまとめました。
私個人のインドで生活していた視点も含んでいるので少々偏りがあるかもしれませんが、これからNifty50に投資を考えている皆さんの参考になれば嬉しいです!

Nifty50を新NISAで投資したい方は、以下の記事も参考にしてみて下さい。現在は、iFreeNEXT インド株インデックスよりも、eMAXIS インド株式インデックスの方が若干信託報酬が低いためお勧めです。

今後も追加情報あれば更新していきたいと思います!
最後までお読みいただきありがとうございました!